第7章 グレイ scene5
「潤…落ち着いた…?」
腕の中の潤は、無反応で…
もはや俺が何を話しかけても、答えてはくれなかった。
もう、我慢がならなかった。
「オイ…潤っ…!」
潤の肩を乱暴に掴むと、潤はびくっとして俺を見上げた。
「これからは一緒に住むぞ!」
「ええっ…」
「なんでお前が泣いてるのか、俺にはわかんねえ…だから…」
ぎゅっと潤の泣きはらした目を親指で擦った。
「だから、これからはずーっと俺の傍にいろ!ずっとだぞ!」
「しょ…くん…」
「仕事の時はしょうがねえけど…それ以外の時は、ちゃんと俺の飯作って待ってろ。いいな」
「ほんとに…?」
「ほんとに決まってんだろ。あ、それから風呂もな。俺は熱いのが好きだから、ちゃんと…」
突然、潤が抱きついてきた。
勢い、マットレスに二人で倒れ込んだ。
「翔くんっ…翔くんっ…」
「なっ…どうしたんだよ!潤っ…」
「嬉しいっ…俺のこと、奥さんにしてくれるの!?」
「お、おう…つか、奥さんもカノジョも変わんなくね?」
「へ…?」
「だって…俺には潤しかいねえもん」
「翔くん…」
「お前は俺の、カノジョでもあり、奥さんでもあるだろうが」
そう言ったら、潤は派手に泣き出した。
泣きながら、なんで泣いてたのかゲロった。
「だって翔くんがこたきと結婚したいっていうからあああ…」
「はあ?」
「夜会の収録で、翔くんが言ったってチーフから昨日聞いたもん…」
「はあああ?なんだそりゃあ…」
それで奥さんとか言ってたのかよ…
「ばかだなあ…潤…」
チーフ、あとで締める。
「ほら、おいで…」
ぎゅううっと潤は俺に抱きついてきた。
「翔くんの奥さんにして…?」
「だから、もう奥さんだろ?」
「うええええ…」
散々泣いた潤は、俺の手を握りしめながら眠ってしまった。
その天使みたいな寝顔を眺めながら、俺はニヤけるのを止められない。
だって。
潤にこんなに愛されてるのは、世界中で俺だけ…
「ちょーど素っ裸だし…明日、たくさん可愛がってやるからな…」
ちゅっと頬にキスすると、天使は眠ったまま微笑んだ
END