第6章 ショコラ scene4
「なっ…なんだ!?」
突風が過ぎたのを確認して部屋を見渡す。
シンとしてなにもなかったかのように静まり返ってる。
雅紀と居るとこんなことばかりで、慣れたと思ってたけどやっぱり突然来られるとびっくりしてしまう。
「ふう…」
息を吐き出した瞬間、雅紀が飛び起きた。
「わんっ…」
「うわああああっ…」
俺にのしかかってくると押し倒して、口をベロベロと舐め始めた。
「く…黒か!?」
「わんわんっ…」
嬉しそうな顔しながら、俺の口の周りをべろべろべろべろ舐め回す。
「な…なにしてんだよおお!おまええええ」
「わんわんっ…」
あ、もしかして新年の挨拶に来たのか!?
「ちょおおっ…や、やめろっ…」
「わんわんっ…」
「く…黒っ…おすわりっ」
「わんっ」
雅紀はマットレスの上で手を付いておすわりをした。
ほめて?ほめて?って顔で俺を見上げてる。
「わかった…黒、今年もよろしくな…?」
「わんっ」
あおおおおおおおんと遠吠えをすると、雅紀の身体はばたっと倒れ込んだ。
「ま、雅紀っ…」
「むふふ…しょうちゃあん…」
後には、しあわせそうな寝顔の雅紀が残された。
「あーあ…今年も黒は遊びにくる気満々だな…」