第4章 ウィスタリア
「わぁー凄い!」
シュタインから出るのは初めてで見る物すべてが珍しい
キョロキョロと忙しなく当たりを見ながら
宿泊する宿へと歩いていく
不意に視線を感じ後ろを振り向く
「??気のせいかな」
再び大通り歩き出すとどこからか甘い香りが漂ってきた
香りに導かれ脇道に入って進んで行くと
チョコレートが並んでいる
「わぁーこれ全部チョコかな。可愛い」
ショーウインドーを覗き込むように見ていると
「君の方が可愛いよ」
(えっ!?誰)
緋色の瞳、銀色の髪の男性が後ろから声をかけて来た
「なんでここにいるの公務は?」
「えっと....どちら様ですか?」
「えっ?.....俺の名前はレオ。
よろしくねプリンセス」
(見つかって苦し紛れに知らないふりしてる。
ここは乗ってあげるか)
「...プリンセス?」
手の甲にキスを落とすと
そのまま手を引き歩き出す
「ちょっと待って!どこ行くの!?」
にっこりと微笑みを浮かべ
困惑する萩を有無を言わさず優雅にエスコートしていく
大通りを抜けて向かったのは王宮の入り口
(王宮だ.....もしかして兄様の妹とばれたの!?)
青い顔になった萩を見て
「大丈夫だよ。俺が上手く言い訳してあげるから」
こくんと頷き手をギュッと握ると
優しい笑顔を向けられた
「アランただいま。ちょっと息抜きに城下を案内してきた」
「はぁ...またかってに連れ出したのかよ
いい加減にしろよな」
笑顔で話すレオに眉間に皺を寄せて飽きれる
チラッと盗み見る
黒髪でレオと同じ緋色の瞳
服装からしてウィスタリアの騎士だろう
「俺はまだ行く所があるから部屋まで連れて行ってあげてね」
「わかったよ。行くぞ」
「はい!?」
訳も分からず取り敢えずアランについて行く
振り返るとレオが手を振って大通りへと戻って行った
暫く歩くと前から金髪の男性が近づいて来た
「あれ~なんでここにいるの?
さっきジルの部屋にいたのに~歩くの早いね~」
「ノアに比べれば皆早いと思うけど?」
「あははは、もう~ひどいなアランは」
のんびりした口調で会話をするノアに対して微笑みを浮かべるアラン