第8章 留学
外回りの警護を終え廊下を歩いていると
『.....えぇぇぇぇ!!』
「何だ今の声は!?
確かこの先は萩の部屋があるってノアが言ってたな」
まさか敵襲かと走って駆け付ける
部屋の前に付くと中から声が聞こえてきた
『じゃあ良いよなもちろん
俺はずっと萩の事が好きだったんだ』
(冗談じゃねえ!どこのどいつだ!?)
『ちょっと、まっ....』
思いっきり扉を開く
バンッ
「お前、萩に何してやがる!?」
「何ってキスだけど?」
悪びれなくにっこり微笑んで答えた
「はぁぁ!?ふざけんな萩から離れろ!」
「い.や.だ!」
「ちょっと2人とも落ち着いて!?」
「萩さっきの返事は?」
「候補に入れるから喧嘩しないで」
「...何の話だ?」
何のことかわからず眉間に皺を寄せる
「よし、でも俺は他国にいるから不利だよな.....
あっ!?騎士留学にウィスタリアに行ってもいいか
って言うか行くからな」
「えっ!?ウィスタリアに来るの?」
「そうと決まればデジールの奴を上手く丸め込んでウィスタリアに行くとするか
いい加減あいつを見張るのも飽きてきたしな」
そう言うと開いたままの扉から出て行く
「おい!」
「おっとそうだアラン」
「なんだよ」
何かを思い出したように振り向く
「お前さっきから『萩』って呼んでるぞ?」
「なっ!」
「それでは、私は先に会場に戻らせていただきます。アラン、『サクラ様』をよろしくお願いします」
ニヤッと笑い会場へと去って行った
閉まった扉を見つめたまま
「萩.....説明してくれる?」
「えっとね、フェデルタは幼馴染なの」
「幼馴染ね...それで候補って何の候補?」
「伴侶候補だよ」
「伴侶候補!?あいつはデジールの手先じゃないんだろうな?」
「大丈夫だよ。官僚たちとデジールを国王代理の座から引き落とす為に、悪事のデータを極秘に集めているんだって」
「そうか.....味方が増えるのはいいが」
ライバルはいらねぇとボソッと呟く
「んっ?何か言った?」
「いいや何も
俺たちも会場に戻るか」