第7章 騎士
~萩~
「あの、俺は名前を貴女に名乗りましたか?」
「あっ!」
(如何しよう。思わず名前を呼んじゃった!?)
「ええ確かデジール様が貴方の事を名前で呼んでいましたよ」
(ううっデジールは呼んでなかったけど大丈夫かな)
「嘘ですね。デジールは俺の事を今まで一度も名前で呼んだ事は無い」
「えっ!そうなの?デジールは騎士団長の名前も知らないの?
そんなのでよく父様の代わりが出来るわね!国民が可哀想だわ」
(あいつ自分を守ってくれる騎士団長の名前も知らないなんて!)
怒りを露わにしていると手を掴み引き寄せられ
思いっきり抱きしめられた
「わっ!ちょっと待ってフェデルタ」
トントンと胸を叩くと少し離れて顔を見つめてきた
「瞳の色が違う、でも貴女は萩様ですね?」
(もうバレたししょうがないか)
観念して頷き腕から離れる
瞳に入れていたコンタクトを外し
フェデルタを見る
「萩様やはり生きていたんですね
4年前のあの日、俺は別の仕事で一緒に行けなかった
火事があったと聞き急いで駆け付けたが王の遺体しか見つからなかった
王妃と王女が亡くなったと聞いても
きっと何処かで生きていると信じていた。
だから俺はデジールに従っているふりをしてクロッシュを守る事にした」
「フェデルタありがとう
あの日デジールが屋敷に火を放った、父様は私と母様を逃がす為に屋敷に残ったの
母様と私は森を抜けてシュタインに辿り着いたけど追いかけてきた兵士に母様は殺されて私もナイフで刺されてしまったの
でも私はこのペンダントのおかげで死なずに済んだ
その後目覚めた私は記憶を無くしてしまって
ここシュタインでゼノ様の妹として過ごしいたの
でもね、つい最近記憶が戻ったの」
母の形見のペンダントを見せ微笑む
「そうだったのですね。ではなぜウィスタリアのプリンセス『サクラ』と名乗っているのですが?」
「私ね、サクラ様とそっくりなんだよ。
お披露目会を見に行った時にサクラ様に間違われちゃったの
それでねウィスタリアのジルがクロッシュを取り戻す手伝いをしてくれる事になったの
今回サクラ様と代わってパーティーに来たのはデジールから情報を聞き出すためなの」
「それなら俺もいえ私も協力致します。
私が貴方をお守り致します
騎士の名にかけて!」