第5章 プリンセス
「さあ、ここが衣裳部屋だよ」
「萩にはどれが似合うかな~」
扉を開くとたくさんのドレスと
帽子やカバン、小物類が所狭しと並んでいる
レオとノアがたくさんのドレスを手に取り
楽しそうに選んでいる
その間に萩は衣裳部屋の奥へと歩いて行くと
「サクラ、着替えに来たのか?」
「えっ」
振り返ると背の高い銀髪の男性が立っていた
「このドレスが良い~着替えて
あれ~クロードいたの?」
「ノアずるい、仕方ない俺は小物を選ぶよ」
ノアに背中を押されてドレスを持ち試着室に向かう
ノアが選んだのは
若草色、早春に芽吹いた若草のようなあざやかな黄緑のドレス
「どうかな、似合う?」
「とっても可愛い~、一回転してみて?」
言われてその場でクルッと一回転する
フワッとキャラメル色の髪が広がる
「ちょっといいか?」
椅子に座らすと
髪に櫛をとおしていく
耳から上を束ねて軽く捩じり
バレッタで留める
女性らしい上品な髪形になった
「よし、もういいぞ」
「ありがとう。」
「どういたしまして。ところで君の名前は?」
微笑みながら手を取りチュッと口づけをする
「あっごめんなさい。私は萩=エスポワールと申します
今日からここでお世話になります
どうぞよろしくお願いいたします」
にっこり微笑みドレスを軽く摘みお辞儀をする
「エスポワール?君はもしかしてクロッシュの.....」
「そ~なんだ、萩は王女様だよ~」
「クロード詳しいことはまた後でジルに聞いて
さあ、執務室に帰ろう皆が待ってるよ」
じゃあね~とノアがクロードに手を振り
来た時と同じように二人に手を引かれ戻って行く
「ジル~お待たせ~
可愛いでしょ~、ほら萩回って~」
「えっ!また回るの」
「うん。」
言われるままノアの手を取りその場で一回転する
ほほを染めながらにこりと微笑む
「もう~萩可愛い」
ムギューといきなり抱き着かれて
ますますほほが赤くなっていく
「はーいそこまで、可愛いのは分かったから離れてノア」
「え~残念。また、後でね」
「黄緑のドレスですか...ノア様がお選びになられたのですね」
「そ~だよ、良くわかったね~」
ニコニコしながらジルを見ると
フッと微笑みを浮かべる