第5章 プリンセス
「....私はクロッシュの王女、萩=エスポワ-ル」
「クロッシュですか
今のクロッシュは王と王妃が亡くなり
随分荒れているとお聞きましたが」
「おい、クロッシュの王女って証拠はあるのか?」
眉間に皺を寄せて聞くアラン
「お前知らないのか?萩の瞳をよく見ろ」
シドに言われ皆が萩の瞳を見つめる
深い緑色の瞳は
エスポワ-ルの血筋にしか現れない特殊な色
それと母の形見のネックレスに王家の紋章が刻まれている
「萩ちゃんがつけてるネックレス
確かにクロッシュの紋章だね」
「でも萩~どうやって国を取り戻すの~?」
ノアがのんびりした口調で聞く
「王女は死んだ事になっているので公の場に出られない。
そして、萩様はサクラ様に良く似ていらっしゃる
サクラ様に代わり公務に出てクロッシュの現状を探る
こう言うのはどうでしょうか?」
「えっ、いいんですか?」
「ええ。王女でしたら立ち振る舞いは完璧でしょうし
サクラ様の負担も減ります
こちらからお願いいたします」
ユーリを見つめると
微笑み小さく頷いて
「萩の好きにしたらいいよ」
目線を動かしジルを見る
「よろしくお願いします」
「では、後ほどサクラ様と会っていただきます。
萩様はお召し替えを
その間にお部屋の準備をユーリ、お願いできますか?」
「はいお任せ下さい」
「はいはい!俺が衣裳部屋に案内するよ」
「ダメ~俺が案内する。ねえ俺と行こ?」
レオが名乗り出て手を取ると
ノアは萩をギュッと抱きしめた
「わっ!ノ..ノア
一緒に行くから離して!」
「やった~じゃあ行こうか」
「うん。レオも一緒に行ってくれる?」
「もちもん!喜んで」
「行って来ます。
あっ、シド報酬何が良いか考えといてね」
レオとノアに手を引かれて
衣裳部屋へと歩いて行く
「ユーリ、部屋の準備が出来ましたら
サクラ様をここに連れて来て下さい」
「はい」
サッと踵を返し
部屋を後にする