第2章 出逢い
わたしはある日、こんな夢を見た。
優しい笑顔のおばあさんに
「いいかい、まつり…。
お前に幸せを与えてやろう。」
と魔法をかけられて、人間ではない姿に変えられてしまう。
言葉も話せない、感情も表せない…。
ただただ、おばあさんの口にした“幸せ”の言葉だけを信じて眠るような感覚に陥る…。
そんな夢…—
「どういうことだ、オイ…。」
男の人の驚いたような声が間近で聞こえた気がしてゆっくりと目を開くと、わたしは淡いピンク色の花の上に座っていた。
目の前には灰色のウェーブがかった髪に、キリッとした目つきの綺麗な顔をした男の人が、変な生き物を見るような表情でわたしを見ていた。