第19章 ※アンケート回 松怪奇譚〜解〜
狭いクローゼットの中は酸素が薄く、二人とも息が上がり始める。
ゆめ美の理性は熱い吐息と体温に溶かされていく。
縋るようなキスから、一松の気持ちがゆめ美の心に入り込んでくる。
(どうしよう…私)
嫌なはずなのに、怖いはずなのに、心が一松でいっぱいになる。
名前のつけられない感情が溢れ、涙が零れ落ちた。
一松がそれに気づき、頬に舌を滑らせる。そして目尻にキスをすると、眼球をペロリと舐めた。
「っ!!」
「ヒヒ…驚いた?」
愉しげに喉の奥で笑うと、再び口を塞ぐようなキスを再開する。惑い逃げる舌を捕まえ、無理やり絡ませる。
「や…めて…いちまつ」
合わさる唇から、必死になって言葉を発するゆめ美。
「いいんだよ。これは…たぶん夢だから…」
「ゆ…め?」
唇を離すと、一松は自ら額をコツンと合わせた。
「だってそうでしょ?青鬼とか透けるババアとか非現実的過ぎるし、おれがゆめ美とこんなことしてんのもフツーに考えて無いから。クソ松がイタくなくなるほどありえないから。だからさ」
浴衣の衿をずらし、ブラジャーを着けてない胸に手を伸ばす。
「したい。ゆめ美と」
そっと包むように乳房に触れれば、柔らかな弾力に指が溶けてしまいそうだ。
「だめ…だめだよ、こんなの」
ゆめ美がイヤイヤと首を振っても、容赦なく鎖骨に歯を立てて、ゆめ美の理性を吸い取ってしまう。
「…っん」
「夢でくらいヤラせてよ。おれなんか、どうせリアルだと手も繋げないクソなんだから……おれなんか」
一松が手のひらで胸全体を撫で回すと、胸の先端が擦れて硬くなっていく。
「あっ…あっ…」
味わったことのないピリピリと痺れるような快感に、ゆめ美の口から甘ったるい嬌声がこぼれ落ちた。