第32章 姉の二回戦
相澤
《八剣が“個性”使う直前、飯田に一瞬の隙が生じた。風が通用したのは、それが要因だろう》
薙景
「わ、バレてる」
先生よく見てるな〜。
飯田
「八剣君!」
薙景
「ん?」
飯田君が、フィールドからガバッと起き上がった。
飯田
「さっきのアレは演技だったのか⁉︎」
「「?」」
風利
(演技…?)
飯田君の言葉で、観客席が騒めき始める。
薙景
「そ。騙されてくれてありがと」
飯田君が真面目でお人好しな性格で助かった。
飯田
「‼︎(ガーン」
薙景
「汚い手使ってごめんね〜」
私は、愕然とする飯田君を背に、ヒラヒラと手を振りながら、フィールドを後にした。