第1章 木枯しラプソディー(HQ・岩泉一)
「…起きろ、」
「ん……はじめ?…ちゃんと、眠れた?」
「おう、お前のお陰で頭すげースッキリした」
「良かった…」
「ハイ、そこ甘い雰囲気作らない」
岩泉とが顔を見合わせて笑い合ってると二人の間にずずいと及川の手が入る。
「だからなんで!岩ちゃんとちゃんが!同じベッドで!仲睦まじく!寄り添って!寝てるわけ?!」
「うるせークソ川、寝起きに響く」
「ちょっとね、添い寝。はじめ疲れてたみたいだったから」
「てかなんでここにいんだよ及川」
「疲れてたらちゃんが添い寝してくれんの?!じゃあ俺も疲「黙れクソ川」ヒド!!」
ベッドから降りては脱ぎ捨ててあったジャージを拾い袖を通す。
及川は午後練に一緒に行こうと岩泉を誘いに来たのだと言う。
何の気なしに部屋に入ってみれば幼馴染み二人が寄り添い合って眠っていたのを見て心臓が口から出そうになったとも言った。
知るか、と岩泉に一蹴されてしまったのだけれども。
「とにかく!二人とも午後練行くでしょ?ちゃんはバッチリだとして、岩ちゃんは支度しなよ」
呆れ気味にそう言った及川はドカリと床に腰を下ろした。
「卒業までやること山積みなんだからね、モタモタしてる暇ないてないよ」
「徹…?」
「アイツ等には来年烏野も白鳥沢もブッ倒して貰わないとだし、俺達だってウシワカブッ倒す」
「………」
静かなる闘志の灯る目で及川は岩泉を見上げた。
そうだろ?と目線だけで同意を求めた。
岩泉は一瞬驚いた後ーーー、不敵に笑った。
「はっ…当たり前な事言ってんな」
「確認ですー」
「つかウシワカウシワカ言ってんじゃねーぞ、倒さなきゃなんねぇヤツは他にもいんだからな。バレーは」
「「6人で強い方が強い」」
「「!?」」
見事なハモリ。
「ぷっ…ホント仲良しだね、二人とも!さぁ、ご飯食べて学校行こ!」
そう言うとは部屋を出て行った。
残された二人に、再びの静粛が包む。
「…ところで岩ちゃん、ちゃんとはホントに何もないよね?」
「柔らかかったけどな」
「は…!?ちょっと!何が!?何処が!?」
「まぁ、色々な」
「色々!?」
秋の終わりの新たな決意ーーー。
道は、まだまだ続くのだ。
END