第3章 この色を忘れない。(戦国無双・真田幸村)
心に刻む。
幸村、私の心にいようとしてくれるのね。
ならば私も貴方の心にいたいと願ってもいいのかしら。
多くは望まないから、せめて貴方の心にいたい。
「武田の赤は、私が…受け継ぎ申す、そして必ず力をつけて貴女をお迎えに上がります」
「幸村……ありがとう…」
ありがとう、私に希望をくれて。
離れても…貴方を想って生きていける。
溢れそうになる涙を堪えながら私は幸村に口付けた。
角度を変えて何度も求める。
幸村もそれを受け止めてくれる。
「私…この色を忘れないわ、絶対に」
眼下に広がる赤も。
目の前の大切な人の赤も。
目に焼き付けて、胸に刻んで前に進むわ。
貴方が迎えに来てくれる日を信じて。
END