Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第6章 なまリクII♡millieさまリクエスト
潤の車で翔くんが最近一人暮らしを始めたマンションまで送って貰った僕は、早く着物を脱ぎたくてウズウズで…
玄関のドアが開くと同時に、翔くんの首に両手を回して、赤い羽織の背中に飛び付いた。
「ぐ、ぐぇっ…」
翔くんが、まるで踏み付けられたカエルみたいな声を上げるけど、そんなのお構い無しで翔くんの背中におぶさると、器用に草履を脱ぎ捨てた。
「お前…加減てもんはないのか…」
そんなのあるわけないじゃん…
だって早く翔くんに脱がされたくて仕方ないんだもん…
「ふふ、翔くん“ドキドキの病気”になっちゃった?」
顔を埋めた首筋から、翔くんの心臓が脈打ってるのが分かる。
「な、なんだよ…その“ドキドキの病気”って…」
「覚えてないの? 翔くんが言ったんだよ? 僕のこと好き過ぎて、“ドキドキの病気”になっちゃった、って…」
僕、翔くんが本当に病気になったと思って、本気で心配したんだから…
「じゃ、じゃあさ、“おもち”は?」
「餅なら正月に食ったけど…」
「違うよ。その“おもち”じゃなくてさ…。あ、“みっちょん”は? “ゴールデンウィンク”は? “パチチエ”は?」
「そ、そ、それは…覚えてないし…」
僕を背中におんぶしたまま寝室に入った翔くんは、僕をベッドにドサッと落とすと(←ここ重要!)、赤い羽織をパサッと脱ぎ捨てた。
ふふ、ちょっと動揺してる?
だって顔…、超面白いことになってんじゃん(笑)
「あ、あとさ…」
言いかけた僕を、目尻をうーんと下げた翔くんが見下ろす。
「まだ言うつもり? だったら、その良く動く口、塞ぐけど…」
ヤバっ…
ドキドキの病気発病しそう…
「どうする?」
そんなの聞かないでよ…
僕の答えなんて最初っから決まってんだから…
「塞いでよ…。じゃないと僕…」
「僕…、何? 言ってみ?」
ああ、もぉ…
なんて意地悪なの?
「ドキドキの病気で死んじゃうよ…」
胸が苦しくて苦しくて…
「くくっ…、それは俺が困る…」
翔くんがクスッと笑って僕のほっぺをツルンと撫でる。
それだけで僕の胸は期待に膨らんで…
「早く…塞いでよ…」
思わず強請ってしまう。