Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第26章 僕・俺達のバレンタイン協奏曲
智side
「いってらっしゃい」
僕は翔くんに向かって唇を突き出し、キスを強請る仕草をする。
「うん、行ってくる」
ブチューっと僕達の唇が重なり、翔くんが僕の頭をポンポンしてから玄関を出て行く。
「さてと…」
僕は玄関のドアが閉まるのを待って、ポケットの中に入れておいたスマホを取り出し、
『翔くん出てったよ~』
不器用な手つきでメッセージを打ち込んだ。
普段は手先の器用な僕だけど、こういうのはちょっぴり苦手なんだ。
あ!
そう言えば洗濯物干さなきゃ!
僕はスマホをポケットに突っ込み、バスルームに駆け込んだ。
冬って洗濯物乾かないから困っちゃうんだよね…
なのに毎晩毎晩シーツ汚しちゃうからさ、忘れずに干しとかないと大変なことになっちゃう。
まあ…、エッチ我慢すればいいだけのことなんだけどね?
でもそれも出来ないから、お洗濯は欠かせないの。
僕は洗濯機から取り出したシーツを抱えベランダに出た。
物干し竿にシーツをかけると、冷たい風に乗って漂う柔軟剤の香りにちょっぴり幸せ気分になる。
「やっぱ洗い立てはいいよね♪」
一人満足げに呟き、マンションの下を見下ろすと、見覚えのある黄色い車が、マンションの地下駐車場に入って行くのが見えた。
「あ、いっけない…」
僕は昨日から干しっぱなしになっていた洗濯物を取り込み、慌てて部屋に戻ると、両手いっぱいの洗濯物をベッドの上に置いた。
だってさ、グレーのパンツいつまで穿いてんのとか思われるの、恥ずかしいもん。