Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
飲み会を翌日に控えた夜、僕は潤の店に来ている。
正確には、和のパパさんの店、なんだけどね。
パパさんが作るケーキが、素朴だけど美味しい、と最近になって話題にもなっているスイーツ専門店。
その一角を借りて、潤が始めたコーヒーの専門店。
本格的なコーヒーと、パパさんのケーキが楽しめることで、週末なんかは満席になることも少なくはない。
そのカウンターの片隅を陣取って、僕は一人深い溜息を吐いていた。
「あのさぁ、俺の淹れたコーヒー飲んで、溜息ばっか吐かないでくんない?」
閉店時間が近いこともあって、潤が片付けをしながら僕に文句を言う。
「だぁってさ…、はあ…」
「んな溜息ばっか吐くんだったら、最初っから断りゃ良かったんじゃね?」
「簡単に言ってくれるよな…」
それが出来たら、こんなに悩みゃしないしな…?
「だってそうだろ? 翔さんだって、別に強制してるわけじゃないだろうし? ちゃんとお前に選択の自由は与えてた筈だぜ?」
それはごもっともな意見だ。
でもいざとなると、色々考えてしまうんだ。
「はぁ…」
「皺、寄ってんぞ?」
潤が僕の眉間を指でぺチンと弾く。
「痛って…。も、なんだよぉ…」
僕はジンジンと痛む額を両手で抑えた。