Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第16章 僕達のバースデーソング②
ただ…さ、誕生日を目前に智とケンカすることになるとは…、正直俺も思ってなかった。
まあ、ケンカって言っても?、いつもはガッツリ用意してくれてる朝メシが、半分に減らされてたことに、俺が一方的に腹を立てただけなんだけどさ…(笑)
ガキっぽいことしたな、って後になって後悔したけど、そこはやっぱり俺の性分…つーか、引くに引けなくなっちゃうんだよな…
そう、俺ってば案外面倒臭い男なんです。
「さて、と…」
PCを閉じ、上司に書類を提出したら後は自由(外回りを理由に、サボりとも言う…)だ。
俺は智のお手製愛妻弁当を手に、オフィスを飛び出した。
ビル内の食堂でコーヒーだけを頼み、同僚や部下と一緒にテーブルに着く。
「おっ、櫻井は今日も弁当持ちか? 羨ましいねぇ(笑)」
「櫻井先輩、今日のお弁当何ですか?」
次々かかる冷やかしの声にも、もういい加減慣れた。
「そんな大したモンじゃないですよ」
言いながらも、ルンルン気分で弁当の包を開け、ゆっくり蓋を持ち上げた。
「えっ…? はあっ!?」
嘘だろ…
いやいや、まさかそんな筈は…
きっと夢だ…、俺は幻を見てるんだ。
だって…、だってだよ?
今時、白米に梅干し1個の日の丸弁当って…なくね?(笑)