第3章 捨てられない感情
そして約束の日
"堅苦しい店はいやや!"
という渋谷さんの強いご要望により
丸山さんや渋谷さんがよく行く居酒屋に
私たちは集まることになった…
約束の10分前にお店についた私が
店員さんに案内された個室に入ると
すでに一人座敷に座り
ちびちびとお酒を飲んでいる人がいて
"失礼します…はじめましてあんです"
そう言って席に座った私を
何も言わずただじっとまっすぐな瞳で
見つめてくる……
「あの…何なんですか………?」
無言のまま見つめられ顔に
イライラしてじっと目の前に座る
渋谷さんを睨み付けると…
「お前の目…きれいやな…………?」
そんな言葉と一緒に
渋谷さんはふわりと笑った………