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【100プリ】Wistarian Diva

第1章 Op.1 原石発掘




レオナがすっと息を吸い込み


スポットライトの中
会場の空気へ

空高くまで


その声をまっすぐ響かせた。






「Midnight....」





その瞬間


三人の目の色が
はっきり変わった。



いや

三人だけじゃなく



そこにいた全員の目の色が変わった。





そのラフで安っぽい出で立ちからは
想像もつかないような


透明で

力強く

深い歌声が




天使のように

空へ舞い上がっていくようだった。





観衆は一気にどよめいた。



興奮の抑えきれない観衆の声。



「わーぉ…きれーだねー」


ノアは相変わらずの調子でほめる。


カインは手を下ろし、絶句していた。




「Every street lamp...」


のびやかな高音の次に訪れる低音は

信じられないくらいパワフルで

その小さな身体から出ているとは思えないくらい


力強い、地を這うような声だった。



レオナはまっすぐ手を伸ばし

声の限り歌った。


何かが宿るようなその視線と歌声の
ちょうどその先には


ルイがいた。


ルイが僅かに瞳を揺らす。



「Touch me...」


ひときわ盛り上がるその瞬間

観衆の声が一気に沸き立ち


レオナは笑顔で歌う。


その笑みが自分に向けられたような気がして

ルイは一瞬だけ頬を染めた。




「見てー、ルイにラブコール送ってるみたいだねー」

ノアの言葉にルイは反応しない。



「…んだこれ」

カインは言葉を失っている。


















レオナが歌い終えた時

間違いなく今日一番の
拍手と歓声と賛美の声が

会場を包み込んだ。



先ほどまで嘲笑っていた全ての人たちが
称賛の声を上げていた。



声が少しおさまったところで
ルイが口を開いた。


「君は誰かの前で歌ったことがあるの?」

「いえ…母だけです」

「そう…お母さんは何か言っていた?」


「…世界があなたの声に喜び涙する、と」


少しためらいがちに
レオナは言った。


「お母さんの言葉は正しい。ここにいる誰もがそう思っただろう」


ルイは両サイドにいるカインとノアに目配せすると



…同時に「合格」のカードを掲げた。





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