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【100プリ】Wistarian Diva

第11章 Op.11 真夏の夜の調べ・1




「…んだよ、やりづれぇな」


止まない歓声の中
舞台袖でシドが眉根を寄せている。


「…確かにこの後はやりづらい」
レオが同情の視線を送る。

「しかもソロ」
「しかも現代曲」
ノアとカインが口を揃えて突っ込む。

「シド、朗報です。休憩をはさむそうですよ」
ジルが後ろからやってきて声を掛けてきた。


「…ちっ、さっさと終わらせてぇ」



苛立ちを滲ませたシドは舞台袖の椅子にどかっと座った。







*********


「ご苦労だったな」

王宮内控室。
待っていたクロードが次の衣装を用意していた。

「最後にジャズのナンバー歌うんだろ?」
クロードは黒のオールインワンを出してきた。

「かっこいいね、これ」

オフショルダーのオールインワンは
大きめのフリルが胸周りを囲っていて
適度なセクシーさとラグジュアリー感を出している。


「あと…アクセサリーは少し『外す』方がいいだろ」


そう言ってクロードは
ウィスタリアでも有名なジュエリーブランドのコスチュームジュエリーを出してドレッサーの前に広げた。

キラキラしたおもちゃ箱から飛び出したようなアクセサリーが目に飛び込む。

「かわいい」

「これと…これの組み合わせなんてどうだ」

少し大ぶりなデザインのネックレスをレオナの胸元にかけ
クロードは後ろの留め金をつける。

首元でクロードの息遣いを感じ
少しだけ鼓動が早まる。


「そういやずいぶん、ルイと仲がよさそうだったな」

その言葉に今度は心臓を掴まれるような衝撃が走った。


「え、そうかな…息が合ったからじゃないかな」

「……王位継承者とスキャンダルだけは起こすなよ」

その冷たく放たれた言葉に
胸の奥がズキリと痛む。


先日スタジオで唇に落とされたキスを思い出す。


(あれは…気まぐれだよね…)


「…ないない、ルイは私なんかに興味なさそうだもん」

笑ってごまかすレオナのことを一瞬だけ見つめると
クロードは、下ろしていたレオナの髪を結いあげた。

「お前が有名になって利益を叩きだして…俺への恩を返し終わったら好きにするといい」

「……」


レオナの髪が結いあげられた頃
休憩の終わりを告げる鐘が鳴り響いた。

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