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【100プリ】Wistarian Diva

第11章 Op.11 真夏の夜の調べ・1




それから1ヶ月後。





ウィスタリアにも本格的な夏がやってきた。


レオナはCDのリリースやテレビ出演、雑誌取材などを日々こなし

ウィスタリアの愛されるスターになりつつあった。




安定感のある歌唱力に
美しいルックス。
そして最初のオーディション番組の時からのギャップ。
田舎の庶民出身。

それら全てが
人気を押し上げる要素になっていた。


『夏の音楽祭』は国民すべてが関心を持っており
城下の人々だけでなく
遠方の人々も鑑賞に訪れ


音楽祭期間中の城下は
いつも以上に活気あふれる街になっていた。




街のあちこちのホールやロビー、レストラン、街頭で
多くのミュージシャンたちが演奏をし
多くの人が足を止め

街は音楽に溢れていた。




そして
『夏の音楽祭』最終日の夜。

音楽祭のハイライト。




王宮メンバーとレオナのコラボレーションライブ




チケットは5分で完売

王宮の庭に用意された特別ステージの周りには
沢山の観客が訪れていた。


城のテラスには特別席が設けられ
貴族や他国の来賓たちがステージを見下ろす形で集まった。




日が落ちて

夜空に月が浮かび


ステージがライトアップされる。





「皆様、ようこそお越し下さいました」
司会者が始まりの挨拶を始める。


「今宵は王宮の皆様による特別な演奏をお送りいたします。音楽祭最後の夜、最高のひとときをお楽しみください」



そして
トップバッターが舞台にあがった。







「きゃーーー!」

女性たちの黄色い声が響く。


「ユーリ!!こっち向いてー!!」

「ジル様ぁ!!」

相変わらず王宮メンバーは大変な人気ぶりである。




Program 1

Flute:ユーリ=ノルベルト
Piano:ジル=クリストフ

Faure「Sicilienne」




ユーリのフルートは
まるで女性の声のように

優しくまろやかに響いていく。



夏の夜の始まりにぴったりの
幻想的なメロディだ。

美しく添えられながら時に旋律を奏でるピアノは
いつも陰ながら王宮を支えるジルそのもののようで。


(ジルのピアノ…なんか色っぽいかも)


舞台袖から覗いていたレオナは
ジルの横顔にどぎまぎしていた。


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