• テキストサイズ

【100プリ】Wistarian Diva

第10章 Op.10 スタジオリハ




ルイの柔らかい前髪が
そっとレオナの頬を掠めた。


ゆっくりと離れていく唇。
レオナは茫然としていた。



「……ど…して?」


「…ごめん、分からないけど」


自分からしたことなのに
ルイはひどく動揺した様子だった。


「ごめん、忘れて」

「あ、ルイ…」


そう言いかけた時


「あ、レオナさん、ルイ様!」

廊下の角を曲がってケイがやってきた。


急に気恥ずかしさがこみあげてきて
レオナは俯いてしまう。


ルイはすっと立ち上がると


「…疲れたからもう帰る」

「ルイ様、もう帰られますか?じゃあアランさんに連絡しますね」

何も知らないケイはそのまま携帯を取り出し連絡をする。



「…レオナ」


どきり、として、ルイの方を振り返る。




「本番、楽しみにしてる」


ルイは口角を僅かに上げて言った。

その表情はもういつものルイに戻っていた。










*********


ウィスタリア城下のスタジオ。


サングラスをかけたカインが、ジルと共に入ってくる。



「しかしジルがジャズ弾けるとは意外だな」

「…趣味のレベルですが」

ジルはふっと笑いながら応える。

「なんだ、このメンバーは趣味レベルの集まりかよ」


するとスタジオの中にいた男が応えた。

「おい、俺は趣味レベルじゃなく潜入レベルだ。一緒にすんな」

シドはダブルベースを抱えてチューニングをしている。


「…シド、とてもよく似合ってますね」

「あ?ファッションじゃねーぞ」

「褒め言葉だろうが、素直に受け取れよ」
カインはドラムセットの前に座り、スネアを叩く。


「…てめーは全然似合ってねえな」

「あ?何だシド」

「ジャズなんて叩けんのか?」

カインは鼻で笑った。

「はっ…それは聴いてから言うんだな」


ジルは二人のやり取りを見て心の中で呟く。

(…この二人だから、私が選ばれたのですね)


ノアやルイではこの二人をまとめるのは不可能だ。


「さぁ…今日はレオナさんは来ませんが練習は致しますよ」


ジルは手をぱんぱんっと叩き
ピアノの前に座る。


「さて…お二人共覚悟して下さいね…」


シドとカインは顔を見合わせ、一瞬固まっていた。


/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp