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【100プリ】Wistarian Diva

第7章 Op.7 来訪者



「こ、これは家族の問題よ!誰だか知らないけどあなたに関係ないわ!」

冷え切ったクロードの瞳に
従姉妹は一瞬怯んだ。

「あんた…もしかしてレオナをたぶらかして金を巻き上げてるんじゃないだろうね?」

祖母がにじり寄ってきた。

「いいかい、この子の稼いだお金は私たちのものだ!他人のあんたが受け取る権利はないんだよ!たかろうったってそうはいかないよ!!」

「……」

クロードは黙って祖母を見下ろしていた。

「…やめて……おばあちゃん…お願い…」

レオナは掠れた声で必死に訴えた。

「クロードを…悪く言わないで……」

「ハッ!あんた、この男に騙されてるんだね!!もういい加減にしな!」

再びレオナの腕をつかむ手に力を込めた従姉妹に
クロードが更にそれを制止するように掴んだ。


「……いいか。これ以上無理に連れ帰ろうとしたら、捕まるのはあんたたちの方だぞ」

「はぁ?!」

クロードの声には怒りが滲んでいる。

「…彼女は既に王宮が公認し事務所と正式に契約している。
既に多くのスポンサーと金が動いている。

そんな彼女に傷をつけるような人間がどうなるか…教えてやろうか?」

クロードの凄んだ眼差しに
従姉妹は掴んでいた手を離した。


「血縁がどうとか、関係ない。もう、彼女はとうにアンタ達とは縁が切れてる…二度と顔を見せるな」


有無を言わさぬクロードの言葉に
従姉妹と祖母はぐっと黙ると


「せっかく迎えに来てやってなんだいこの仕打ちは!!この裏切り者!恩知らず!アバズレ!!」

捨て台詞を残して
走るように去っていった。








………雨が

徐々に強くなり始めた。




スコールのように降り出した雨の中に

二人だけが、取り残されていた。



クロードは
地面に座り込んだままのレオナの元へやってくると
膝をついて手を差し伸べた。


「立てるか」

「………」


無言のまま、レオナはゆっくりと、
おそるおそるクロードの手を取ろうとした。

僅かに震えていたその手が乗せられた瞬間

クロードは手を掴み
引っ張って引き寄せ抱きとめた。

「……っ!!」

頭の後ろを支えながらクロードが告げる。


「つらかったな……もう大丈夫だ」


その言葉が耳に届いた瞬間
涙がとめどなく溢れた。


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