第20章 Op.20 Interval
(どうしよう……すごく可愛い)
ぼーっと見惚れてしまうルイに、レオナは首をかしげる。
すると
突然はっとなってそわそわしだした。
「どうしたの?」
そう尋ねると同時にルイは慌てていた理由に気付いた。
「あ、黒板忘れた?」
レオナはこくこく、と頷く。
「大丈夫、大体わかるから…レオナの言いたいこと」
安心させるようにルイはふっと微笑むと
「おいで?一緒に食べよう」
手招きして、テーブルへレオナをエスコートした。
ルイは公務以外の時間はなるべくレオナと一緒に過ごしていた。
ルイが仕事中は、ハワード邸の周辺を散策したり
部屋で休んでいたり
なるべく心身に負担のかからないような過ごし方を心がけていた。
そうやって過ごしていくうちに
ハワード邸に来て約1ヶ月の時が経った。
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「いくら君の頼みでもそれだけは許可できない」
ルイの執務室。
目の前にいるレオナに向かって
ルイは珍しく厳しい口調で言い放った。
「せっかく君の病状が落ち着いているのに、悪化するかもしれない」
「………」
レオナは眉根を寄せて少し俯くが
首を横に振ると
黒板に急いで文字を書き連ねる。
『私は大丈夫だから。一度だけ会ってきちんと話がしたい』
レオナの瞳がまっすぐルイを見つめる。
ルイは眉根を寄せ、言葉を探す。
「……今更、あいつに何の話があるの」
ルイの声色には、戸惑いと、僅かな恐れが滲んでいた。
『お願いします』
そう書かれた黒板を差し出すと
レオナは深々と頭を下げた。
長い長い沈黙の後
ルイは重い口を開いた。
「………わかった。来週、王宮に行く時に君を連れていくから…その時に時間を作るよう…クロードに連絡する」
レオナはありがとう、と口だけ動かし
再び頭を深々と下げた。
するとルイはレオナの目の前に立ち
「顔を上げて」
と、言った。
顔を上げたレオナをルイはぎゅっと抱きしめる。
「必ず、俺のところに帰ってくるんだよ、約束して」
レオナはルイの背中に腕を回し
とん、と一度だけ背中を叩いた。