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【100プリ】Wistarian Diva

第18章 Op.18 Happy New Year




クリスマスが終わってから年末にかけては
レオナとケイは事務所にほぼ缶詰め状態で

ワールドツアーに関する契約書類や申請書類、
各種様々な手続きを進めるのに手いっぱいだった。


それに加えて公演の際に歌う曲の練習を並行して行い
寝る以外の時間は殆ど仕事をしていた。




あっという間にニューイヤーイブを迎え
城下はカウントダウンで華やいでいた。


カウントダウンライブのイベントにいくつか参加した後
再び事務所に戻り、ワールドツアーの準備に入る。


会議室には書類や楽譜が散乱し
ケイはその中でうずもれながら仮眠している。

「ただいま…あ、寝てる」

イベントから戻ったレオナは、眠っているケイを確認すると、そばにあった上着をそっと掛けた。


「ニューイヤーまであと30分…それまで、ね」




「…ここにいたか」



その時
入口から聞こえてきた声。




懐かしい
低い、静かな声だ。


「……クロード!」

「久しぶりだな」


クロードはハットに手をかけ、ふっと笑った。

「……疲れた顔して、そんなんで世界に羽ばたくなよ?」

レオナは自嘲気味に笑う。

「ケイと二人でここまで準備して……やっと事務的な手続きが終わりそう」


「……ったく、こんなどうでもいい仕事他の連中にやらせろ」

クロードは少し呆れたように言い放つ。


「おい、少しここ片づけろ」

「え、うん…」


クロードの声に、ケイが目を覚ました。

「んん……って、え?!クロードさん!!」

「久しぶりだな。ケイ、随分頑張ってたんだな」


「あ、俺寝ちゃってた…」

「とりあえずケイは給湯室からグラス3つ持ってこい」

「え?あ、はい…」


わけも分からずにケイはそのまま給湯室へ向かう。


レオナは机の片隅を整頓した。

クロードは手荷物の中からシャンパンを出すと
机の上に置いた。


「……土産だ。今日くらい新年を祝おう」



久しぶりに会ったせいか、クロードは穏やかで優しかった。



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