第17章 Op.17 聖夜【R-18】
(ケイ……充分…ありがとね……)
レオナはそっと携帯をしまうと
バスルームへ向かった。
シャワーを浴び終えて戻ってくると
ルイはベッドの上で起き上がっていた。
「起こしちゃった…?」
「ううん……俺も部屋戻んないと」
暗闇の中でルイは寂しげに笑んだ。
(そりゃそうだよね……)
ベッドに腰掛けたレオナを
ルイはそっと抱き寄せた。
「離れたく……ないな」
「………うん」
「いつ戻ってくるの?」
「………多分、3月半ばくらい」
遠すぎる未来に
ルイはため息をつく。
「……頑張って、来るね」
「…うん。応援してる」
ルイはそっとレオナの髪を撫でた。
「あ、そうだ」
ルイは身体を起こすと急いで自分の服を着始める。
「…どうしたの?」
「…キャンディ、なくなったでしょ?……新しいの、持ってくる」
ルイは慌てて部屋を出ていき、しばらくして戻ってきた。
手には沢山のキャンディが詰まった瓶がある。
「これ…持ってって」
「いいの?」
「うん…俺の分はあるから」
レオナはぷっと吹き出してしまう。
「え…何?」
「ルイ…好きなんだ、このキャンディ」
「えっ…う、うん……美味しくなかった?」
不安そうに瞳を揺らすルイにレオナは首を振る。
「ううん、少しミントが効いててすっごく美味しかったよ」
「よかった」
レオナはキャンディの瓶を受け取る。
「ありがとう」
「じゃあ…俺、行くね」
本当に、お別れの時が来た。
(…どうしよ……分かっていたけど…)
泣きそう。
ルイの顔をまともに見ることもできない。
「レオナ」
ルイは優しいキスをレオナの額に落とした。
「泣かないで…待ってるから」
「ルイ…っ」
我慢できずにレオナはルイに抱きついてしまった。
ルイはそっとレオナを抱きしめ返す。
「…身体に、気をつけてね」
そっと重ねられた最後のキスは
温かく、少しだけ涙の味のするキスだった。