第5章 懐かしの日。
それからというもの。
帝丹高校の学生たちはこぞってホワイトボードを見にくるようになった。
オレが見事な回答に赤いペンで花丸を書いたせいかもしれないけれど。
『がんばってください!』
『応援してます!』
『うちの教室でも撮影してくれー!!』
登校時間あたりを過ぎてから見に行くとそんな言葉で溢れるたった一枚のホワイトボード。
そんな言葉を全部録画して、記念写真とって、
全部消してホワイトボードをまた真っ白にして、
『今日はちょっと難題。
次にさらわれるのはだーれだ。
1 白雪姫
2 毎回懲りずにさらわれるRPGのヒロイン
3 お菊』
次の日、ホワイトボードは
『1 ?』
『2か?』
『いや、これ3だから。』
などなど。
ちなみに正解はと言われれば一応3のつもりだった。
『真実とは、己が信じること。
つまり真実の答えはぼくたちの心のなかにいつだってある!!
ちなみに、ぼくの答えは4 紫と影に予告されたご令嬢。』
「・・・この天才誰だ?」
ハンディカムを回しつつ、キャスト全員とホワイトボードの前に立ちつくす。
「誰だろ?ぼくっていうことは男の子じゃないか?」
「女の子でもぼくっていう子いますよ。」
「だよなぁ。でも『紫と影』を知ってるってことだろ?すごいな。」
「でもあれ、十年以上前の話ですよ?」