第13章 ズルイ自分を変えたい。
「はじめはお前の事、アイツの彼女だと思ったんだよ…」
烏養さんが、渋々と言った感じで話しはじめる。
「行成ですか?」
「あぁ…」
まぁ…
商店街の人からしたら、私と行成はセットみたいなもん。
大学生になって、
お互いに忙しくなって、
会う機会は、ぐんと減ったが、
もちろん今でも、仲は良い。
だから、行成が町内会のバレーチーム
に入ったと聞いて、時間のあるときはちょこちょこ差し入れしていた。
「人見知りなのか?お前、アイツの側チョロチョロするだけで離れねぇし」
だって、町内会の人ちょっと苦手だし。
それに…怖かったんです。
貴方の顔が。雰囲気が。
言えないけど…。
「ただ、差し入れは旨かった」
「あ、ありがとうございます」
「…で、また持ってきてくんねぇかな?って思ったんだよ。アイツに、まぁ…催促したよな」
あぁ、行成に言われた気がする。
差し入れ、気に入った人がいるからまた作って欲しいって。
あれ、烏養さんだったのか。
「そしたらよ…。次から差し入れだけ届いて、お前来ねぇし。次も、次も、物は届くけどお前が来ねぇから、なんかモヤモヤしたんだよ」
…ん?
「まぁ、たぶん…アイツの周りチョロチョロしてるお前が可愛かったんだよ。まぁ…でも、
『伊藤さんとこの娘は森家に嫁に行く』って町内じゃ有名だし」
嫁?なんだ、その話し。
セットなのは仕方ないとしても嫁ぎ先まできめないで欲しい。
だから嫌なんだ、田舎コミュニティー。
「行成とはそんなんじゃないですよ‼」
強めに口を挟めば、苦笑いが帰って来る。
「いい歳したおっさんが笑えるだろ?相手にされねぇとも思ってたし。だから、アイツにお前の名前も聞かずに黙ってたのに、なんだよ…バレてたのかよ」
そう言って烏養さんはガシガシと頭を掻く。