第12章 傷口を抉る。そして…
あー。
わかっちゃったか…。
当然かな?
歩を進めていた足がピタリと止まる。
半歩前を歩いていた烏養さんが振り返り、向き合う形になる。
先程の質問に『はい』とも『いいえ』とも上手く答えられずに下を向くと、
「無言は肯定と捉えるぞ」と
頭に大きな手のひらが置かれた。
『やめて下さい』
普段なら振り払うけども、今は出来ない。
そんな気力が無い。
「アイツはたぶん。お前にそんな気無ぇよ」
言われなくなってわかってる。
だって、彼は私なんて眼中に無いってことを思い知ったばかりだから…。
私は彼に、今、目の前にいるこの人と『お似合い』と言われてしまったのだから…。
だから、わかってる。
わかってるよ。
でも、他人から指摘されるとこんなにも辛い。
うつむくと、いつの間にか流れていた涙が、ポタポタとこぼれて足元を濡らした。