第10章 軽い衝撃
「ねぇ、先生。良いことあったの?あるの?もしかしてデート?」
真ん中の席の子が小動物を思わせる様なクリっとした目で問いかける。
「残念ながらデートじゃないよ。お昼から卒業した高校に遊びに行くの」
そう答えれば、
「なんだぁー」とか
「えぇー」とか
いかにも『ガッカリ』と肩を落とす三人。
期待してた『コイバナ』ができなくてごめんなさいね…。
心の中で彼女達に呟けば、右側の子がポニーテールを揺らしながら「私はお昼から彼氏とデートだよ‼」と机に身を乗り出した。
えっ?
か、か…彼氏といいましたか?
…デートといいましたか?
今の私は端から見たら情けない事この上無いだろう…。
自分でも、自分の口がポカンと開いているのが解る。
そんな状態の私の耳に届いたのは、
「私もだよー」と言う、もう信じられない言葉。