第8章 母校に向かう
「お前ら、宿題終わったかー?」
まるで小学生にでも問いかけるような言葉に、こちらが目を丸くする。
「高校生に向かって何言ってるんですか?」
思わず口を挟めば、
「まだ…です」
「俺も…」
「あと、ちょっと」
なんて口々に声が上がった。
清水さんは溜め息を溢している。
かわいらしい谷地さんはオロオロしている。
『ほれ、見ろ‼』とでも言いたげな烏養さんが、
「終わって無い奴は、明日、持ってこい‼午後練の時間に現役女子大生がわからない所を教えてくれる」
そう言って、私の肩をガシッと掴み、皆の前に差し出した。
「特に、そこの4人‼」
頭の上で叫ばれて、つい肩がビクッと跳ねる。
「わりぃ。わりぃ」
呟きながら、私の頭をポンポンと叩く烏養さんの目線の先には、龍くんと西谷くんと日向くんと影山くんが居た。
「お前らはぜってぇ持ってこい‼わかったな?」
「「「「はいっ!」」」」
元気のよい4人の返事の後に、西谷くんが側に来る。
「君夏さんの教え方、分かりやすいんで嬉しいっす」
そんな風に言われると私も嬉しい。
つい頬が緩んだ。