第4章 田舎のコミュニティは狭い
清水さんに案内されて、武田先生と烏養さんに挨拶をした。
私の顔を見て、
「あれ?たしか…伊藤さんとこの…」
と言う烏養さんに「お久しぶりです」と頭を下げる。
先程も言ったが田舎のコミュニティは狭い。
烏養さんとは、以前、町内会の行事や、行成を通じて何度か顔を合わせた事がある。
「日向と影山、送ってくれたんだって?サンキューな」
そう言って、私の頭をワシワシと撫でた。
「やめて下さい」
バシンと手を払うと、
「冷てーな。家でもそんな態度だと親父さんが泣くぞ。娘が冷たいってボヤいてたぞ」
やれやれと言わんばかりのわざとらしい溜め息を溢す烏養さんに、こちらも負けずと溜め息を溢した。