第1章 番外編 第一話「気になるあの娘の異性はどちら?」
それを覗き見る気づけば、かなり接近していた男三人は。
「なんつってる?」と蜉蝣が聞くと「いやぁ、何か好きな男のタイプを聞いてるみたいですねぇ」と由良四郎。
「カ――ッ!若いねぇ……っ!」とニヤつきながら言ったのは疾風だ。
おっさん三人……じゃなかった、妻の居る三人は自身の青春時代を思い出すように頷いた。
「え、えーとその……」と、どもっていた麻言であったが。
意を決したようにぎゅっと両目を瞑ると
「は、疾風……さん、だよっ」
と言った。
――そして、訪れた沈黙。
タイミングが良いのか、悪いのかその時一際大きな波の音がざざんっと鳴った。
「……はっ?」
呆けた顔をして、声を発したのはその疾風本人だった。
ちなみに若い五人は信じられないという顔をしており、疾風と一緒の二人は大口を開けたまま固まっていた。
「う、嘘……っ。疾風の兄貴……っ?」
一番精神的に損壊が少なかった白南風丸が意識を取り戻すと、思わずそう口にした。
それに更に顔を赤くして、麻言は頷くと
「ほ、ほら、何ていうのか……。目つきが鋭くて、声が大きい所っとか。
それに、しゃきしゃきとしてて羨ましいから。ほ、ほらっ。僕ってぼうっとしてるじゃない?」
それに相槌のように「はあ」と生返事をする白南風丸。
「何か自分にないものを持ってるから気になるのかなあ。格好いいよね、疾風さん」
えへへ、と照れ隠しをするように麻言が笑った時。
近くの岩場からのそっと二人の影が現れたのだ。
蜉蝣と由良四郎だった。
「ほわっ!?か、蜉蝣さんっ、由良さんっ!!??」