第7章 江戸川 乱歩 「両片想い」
「ふう〜購った、購った。」
と云いながら駄菓子の入った袋を見つめる乱歩さん
『乱歩さんは購ってないでしょ。』
と私がポツリと呟くと
「五月蝿いなあ。」
と云う乱歩さんが居る
こんな会話を続けながら私達は寮に向かって歩いて行く
乱歩さんが寮にも少し置いておきたいって云うから仕方なくだけど
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『着いたー』
「お疲れ。」
『ん。』
私は軽い返事をし、荷物を置く
『じゃ、ある程度寮に置いておくのはこれぐらいでいいですか?』
「うん。」
『解りました。じゃ、社に戻り……』
「厭だ。」
『はい?』
「云いたい事有るでしょ?」
云いたい事…
あるのは乱歩さんのくせに…
『何が。てか、何で今更なの。』
云いたい事が示すのは
私達の関係の事だから
『何で。云うの遅すぎる!』
「仕方ないでしょ。僕が自分の気持ちに気づいて君に云おうとした…けど…」
『返事が判ってた…だから、云えなかった。』
乱歩さんの気持ちには昔から気づいてた
けど、私はまだ乱歩さんの気持ちに向き合えなかった