第5章 中島 敦 「看病」
「…敦くん泣きそうな顔しないでよ。」
『な、泣きそうな顔なんてしてないです。』
「嘘。別れたいって云われると思ったでしょ?」
『そ、そうですよ!』
ああ……彼女の前じゃ嘘はつけない
「はは、まぁまぁ怒らないでよ。」
『怒ってなんかないです!』
「嘘つき。」
『…嘘じゃないです。』
今の僕 凄くかっこ悪い
「かっこ悪くなんかないよ…敦くんは恰好善い。」
『……有難う。』
そう云ってくれる彼女が好きなんだよな
「うわー今の凄く反則だよー」
『へ?僕何かしました??』
「その自覚症状無いのも何とかしてね。」
『……???』
「でもそういう所が好きなのかなぁ……」
『そういう所……ですか?』
「あぁ、ううん。こっちの話。」
『なんですか……教えて下さいよー』
「き、急に甘えてこないの!熱あるでしょ。」
『熱なんてもう吹っ飛びました。』
「……うん。」
『唯さんの看病のお陰です。』
「そう云ってくれるだけで看病したかいがあるよ。」
その笑顔凄く……
『可愛いです。』