第19章 10日目の諦感
「ジェイド、折り入ってお前に頼みがある。」
真剣なお顔で訪ねてきた我が幼馴染みは、俺の平穏のために、と力強く我が儘を主張してきた。
「出来る範囲内でしたら。」
「今すぐルルとくっつけ。」
「無理ですね。」
「はやっ!」
一瞬にして彼の我が儘を打ち砕くと、へたっと落ち込み始めた。
「なんでだよ…。」
「独占欲と焦燥感に駈られて、私はルルさんの気持ちを無視して監禁してしまいました。
泣きながら、言うことを聞きます、と言わせてしまいました。」
一旦眼鏡を外す。
私らしくない感情が表に出た息を吐く。
「確実にもう元の関係には戻れない。
あの部屋にいる間だけの脆い繋がりなんです。」
陛下はさっと顔を上げると、力強く、
「それは違う。」
と言った。
「何がですか?」
「さっき、ルルと話してきた。
同意の元で閉じ込められる選択をした。
お前が拾ってきたペットにすら優しいやつでよかった。
そう言っていたぞ。」
「それが、恩返しの延長での話でしたら、どうしますか?」
「はぁ?あの娘がそんな上手い嘘つけると思ってんのか?」
普段より苛々しながらお互いが話していることに気づく。
「お前、アイツにちゃんと向き合ったのかよ。」
「どんなことを聞いても彼女は、恩返しとして、はいとしか言いません。
そんなことで私はルルさんと傍にいることは嬉しくありません。」
最初にもっと考えて話していたら違っていたのかもしれない。
不器用でもなんでもよかった。
きちんと彼女の魅力に惹かれているということを伝えるべきだった。
「アイツからいたいって言ってもか?」
「陛下が言わせている、くらいにしか思わないでしょう。」
並行線を辿るこの話し合いをあと何時間しなくてはならないのか?
段々とこちらも口調が冷たくなっていく。