第17章 9日目の慨然
血に驚いた彼女に、経緯を説明し、服に入れていた汚らわしい物を譜術で燃やした。
私がゆったりと外に出ないで欲しい旨を伝えると、彼女は涙を浮かべて了承した。
悲哀の涙なのだろうか。
本当は私よりふさわしい人がいるはずなのに。
彼女の心が欲しいのに。
最初に恩返しなんて言わなければ……もっと彼女のことを正しく愛せていたのだろうか。
優しく髪を拭ってくれるその小さな手に、勘違いしそうになる。
抱き寄せ、いつものように唇を這わせれば、いつものように答えてくれた。
嬉しさと悲しさと、胸のざわめきを止めることが出来なかった。
この部屋にいればいい。
ここから出さえしなければ。
彼女の身体と心はきっと、ずっと私と繋がっていられる。