第16章 9日目
「はい、私は…。
ジェイドさんの、言うとおりにします。」
ぎゅっと抱き締められると、顎をすくわれ、食むような口付けをされる。
幸福感に頭がぼんやりする。
いつもの、ジェイドさんの柔らかな香りと、微かに混ざっている鉄の臭いが、段々私の感覚を麻痺させていく。
雨で濡れている髪が首元を掠めると、くすぐったさに身を捩る。
「風邪、ひいちゃいますよ…。」
唇を離すと、近くにあったタオルに手を伸ばし、優しく髪を拭った。
いつもしてくれているように。
「まだ、ダメです。やめないでください。」
と言われると、後頭部を支えられて、怖いくらい激しいキスをされた。
雨と雷は夜も止まなかった。
その日も、ジェイドさんの瞳が元に戻るまで、私はされるがままの状態だった。