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互換性パラノイア【TOA】【裏】

第16章 9日目


雷が鳴っている。
ジェイドさんはまだ帰宅していない。
結構眠ってしまったようで、雷と土砂降りの外は、もう真っ暗だった。
小さなランプをつけると、オレンジの光がベッド周りを明るくする。
どのくらいの雨か気になって、窓を開けようとしたが、いつものように開くことはなかった。
「…ここも、閉められちゃった…。」
ジェイドさんをとても怒らせている、そこだけは間違いない…。
恐怖に軽い身震いがした。
温厚な人は怒らせると怖い。
きっとこれは、全世界共通のルールだ。
かつて私も、前の町に住み込みしていたところで、とても柔らかな物腰で話すジェイドさんのようなお兄さんがいた。
しかし、その人が怒った時、破壊力が凄まじかったことだけは覚えている。
私が怒られた訳でもないのに、あまりの恐怖に大泣きした。
そんな記憶をぼんやりと思い出して、私は再び窓を覗く。
すると、雨避けマントを羽織り、白い馬に乗っているジェイドさんの姿が見えた。
マントから少しはみ出たブロンドの髪は、風にたなびくとキラキラ光り、暗闇でもよく見えた。
(か、かっこいい……。)
これから怒られるにも関わらず、とくとくと胸が鳴るのがわかった。
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