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互換性パラノイア【TOA】【裏】

第15章 8日目の焦燥


休暇を終え、執務室に久々に脚を伸ばした。
することは山のようにまた溜まっていた。
黙々と片付け、いつもと同じ職務に戻る。
今日明日は特に忙しい訳でもない為、そのまま自室で寝泊まりする予定でいた。

「ルルさんが行方不明…?」
空っぽの自室に疑問を抱き、近くにいた使用人に声をかけ、いつも部屋にいるはずの彼女がいないことを聞くと、そういう答えであった。
全身の血が冷えた。
喪失感と焦燥が込み上げてくる。
「どういう、ことですか?」
メイド長の話を聞くに、夕方頃、城内の掃除をしていたところで急にいなくなったということらしい。
城内を探しても見つからず、既に陛下と公務に付いている一部の者に報告が行っていた。
「何故先に私に報告がなかったのですか?」
つい、苛々して聞いてしまう。
「申し訳ありません!ルル様の外出許可が下りていない状態でしたので、必ず城内にいると誰もが思っておりまして……。」
「なるほど…。私の出禁命令はそのままだった、ということですね。」
考えられるのは。
「本日の買い出しの物資はもう届いていますか?」
「…!」
「やはり……。」
「じゃあ、ルル様は、買い出しに出られたのですね?」
急に胸騒ぎがしてくる。もし、外に出て何かがあったのならば。
「急ぎましょう…。」
半分冷静を保てていない私に、周囲の者も混乱をし始めていた。

数時間して、城下にはいないという報告だけ入ってきた。
焦り、緊張、不安、そして憤り。あらゆる負の感情が湧いてくる。
「…くっ…。」
戦場でも、ここまでかつて焦燥したことはあっただろうか。
拳を握り、行き場のない気持ちを掌に押し付けた。
「大佐…。」
部下達が不安がっている。いつもの私に少し戻ろうと努力する。
「大丈夫です…。町を出たところを少し探しましょう。」
ふと、近くの森に小屋があったことを思い出す。
なんとなく察しがついたところで、馬小屋から騎士達の馬を拝借すると急いで向かった。
残った者たちが呆然と見つめるのを背中越しに感じた。
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