第12章 7日目
「いいですか?知らない人には付いていってはいけませんよ。」
「?…はい?」
「それから、うちの軍部の者がナンパしてきても無視するんですよ。」
「…それは、ないと…。」
「あります。ルルさんは、とても可愛らしいですからね。」
「……っ!ありがと、ございま…す……」
「あと、食べ物を貰ってもすぐに食べないで、必ず私を通してからにしてください。」
「そんな、子供じゃ、ないんですから…」
「ルルさんは天然ですからねぇ。」
ジェイドさんはくるりと反転して、その美しい髪をさらっと踊らせると、最後に!といつもより響くテノールで強めに言った。
「特に、陛下は信用なりませんから。」
「え!?」
「ルルさんに対しては殊更です。絶対に陛下の食べ物には手を出さないで下さい。」
「た……」
私は貰ったものを、そんなにいつも頬張っていただろうか……。
「はぁ……心配ですね……。」
ジェイドさんはいつもとは様子が違い、そわそわとしていた。
その様子がおかしくて少し笑った。
「笑い事ではありませんよ。」
はぁ、とため息をついたジェイドさんはとても新鮮で面白かった。