第62章 【番外編】変態の彼女3
「でも、いつもよりとても香りが濃くて……」
ほおっと熱のこもった表情をされながら、椅子に座って漸く同じ高さになる彼女が見つめてくる。
「瓶を倒してしまってな。結構濃い状態で被ったかもな。」
服の一部に付いてしまったとはいえ、薄く2、3滴伸ばして使う物とはまた違った状態だろう。
濃い香りなのも納得する。
小さな少女はふう、とため息をつくと、新しい紅茶を注いでくれた。
いつもより動きがぎこちないのが気になる。
テーブルに置かれたと同時に、
「本当に、何もないのか?」
と細く白い手首を掴む。
「ひあっ!」
「…?」
一瞬悲鳴にもにた声を上げた。
「や……は、離してくたさい…っ!」
逃げようとするのがますます気になる。
「言えないようなことされたのか?なんかあったんだろう?」
「な、ないです、ちがっ、あ…離して、ください…!」
何をそんなに慌てているのかがわからない。
また何かよからぬ実験をしているのではないかと不安を煽られる。
「や……はなして…?」
掠れそうな小さな声でそう言われると、なんだか罪悪感が芽生えてそっと離した。
「悪い…。」
ふう、と安心し、息を整えようとする姿が見える。
「すみません……なにも、何もないんです。
私が少し変なだけで…。」
「変?」
こくりと恐る恐る頷く彼女。
確かに何かといつもより違和感を感じる。
もじもじとその小さな身体を捩らせ、じっと見上げてくる。
「どうした、体調でも悪いのか?」
「…えっと…、今日、ジェイドさん、何時に帰ってきますか?」
「明日の朝になると聞いたんだが…どうしたん…」
と後に続く言葉が飲み込まれた。
首に細い腕を回され、小さな身体を必死に密着させてくる。
大人気なく、思わずどきっとした。
「ごめんなさい、もう、待てなくて…」
「な、何を?」
大人しくされるがままになるか、それともちゃんと拒否するべきか。
頭を動かして考える。