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互換性パラノイア【TOA】【裏】

第62章 【番外編】変態の彼女3


「あ…」
と言った時には、時既に遅し。
アイツの執務室に置いてあった瓶をひっくり返してしまい、中にあった液体が溢れた。
やってしまったなと急ぎ近くの使用人を呼んで拭き取り掃除をしてもらった。
「香水か…?服に匂いがついたな。」
「お着替えなさいますか?」
「いや、面倒だ。今日はこのままでいる。」
慣れないくらいで、別に嫌というわけでもなかった。
そのまま頼みたい仕事の書類を置いていくと、瓶を元に戻して自室に戻った。
最近菓子作りにハマっているルルの菓子を試食をするのが日課になっていたので、いつも来るであろう時間までに戻ってやりたかった。
いなかった時のがっかりした様子がありありと想像できて、罪悪感があるんだよな。
部屋に戻ると慣れない香りがするせいか、ブウサギたちがわらわらと逃げていく。
ストレスになるかもなと思いながら調べものをする。
漸く目的の人物が現れ、外で食べてもいいかと誘って、テラスに行くことにした。
ティーワゴンを持ってくると言って、小さな少女はいそいそと出ていった。
「今日はタルトにしました!」
と切り分けてくれた菓子を受け取る。
クッキーのサクサク生地と甘酸っぱいジャムの相性が良い美味い1品だ。
「あれ?ピオニー様…」
「なんだ?」
「あ、いえ、ジェイドさんの香水の匂いがしたので…。」
ああ、さっきひっくり返したのはそうだったのか、と納得する。
彼女はいつもアイツの話をするとき、すごい嬉しそうにするんだが、今日は複雑な顔を少しだけしていた。
「喧嘩でもしたのか?」
「え!?」
「いつもアイツの話、楽しそうにするから。」
「…あ、そんな、喧嘩ではありませんよ…」
顔を赤らめて視線を反らされる。
照れているときのいつもの反応だ。
幼いながらもそういうさりげない仕草に色気があり、この娘がモテるのは、なんとなくわかる。
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