第59章 【番外編】犬
次の日はお休みだった。
夜更かししてしまって、私はお昼過ぎに目が覚めた。
今日もお帰りにならないとピオニー様に聞いて少し落ち込んだ。
部屋には昨日垂らしたコロンが、少し時間が経って落ちた香りになっていた。
それも身体をじわじわと熱くさせる。
部屋に鍵を掛けると、私は物足りない何かを埋めようと火照った頭で考えていた。
結局本を読んでも、考えても思い付かず、私の下腹部は限界を迎える。
刺激が、欲しい…。
手首にコロンを垂らす。
キスするようにそこを口に付け、噛みつき、まるでそこに彼がいるかのように錯覚する。
「はぁ、も、だめ…」
強い刺激が欲しい…。
私はテーブルの角に、下着越しにそこをあてる。
「ふぅ、ん、く……」
はしたないし恥ずかしい…こんなところを見られたくない気持ちでいっぱいなのに、腰の動きを止められない。
手首に深く噛み付くと肺にまで香りが広がっていく。
「ふぁっ……はあっ……」
ガクガクとテーブルが揺れる。上に乗っている花瓶も揺れる。
綺麗に生けたお花の前で、私はなんてはしたない……。
「あ、あっ、あぅ…あんっ!あっ!」
爪先までピンとはると、電流が一気に駆け巡る。
それでも、物足りなくて、角を中に入れるように動く。
「やぁっ!あっ、あっ!!」
芽の裏側、いつも感じる浅いところに食い込むと、腰がまた勝手に動き出す。
「ひやぁっ!!あ、ああっ!!ああああ!!」
ガクガクと身体が揺れる。
水がぷしゃーっと溢れて、頭が真っ白になる。
「はぁ、も、もうやだ……私、どうしちゃったんだろ…?」
今まで、彼が恋しいと思ったことは何百回もきっとある。
でも、こんな、肉欲的に欲しいと思ったことはあったのだろうか?
香水だけでこんなになるだろうか?
なんとなく、不思議に思った。