• テキストサイズ

互換性パラノイア【TOA】【裏】

第6章 4日目


抱き上げられた私はふわっとベッドの上に押し倒された。
いつものように罪悪感とこのままでいいのかという気持ちが合わさってもやもやとしたまま、ぎゅっと頭を押さえ付けられて唇を奪われた。
そのあまりにも優しいキスに、私はさっきまで感じていた恐怖心と違和感の正体がようやくわかった気がした。
(ジェイドさんだと、恥ずかしいけど、安心する…。)
彼の袖をきゅっと思わず引っ張る。
もっとして欲しい、なんて、思ってしまう。
首を振り、なんとか邪念を捨てようとした。
「何故、朝から避けてるんですか?」
ああ、やはり拒否しているように感じさせてしまった。
ごめんなさい、と小さく謝るとまたキスされる。
服を少しずつはだけさせながら、私の返事を待つように唇を離した。
「その、恥ずかしかったのと、あと、私はお礼の為だけにこんなことを続けなくてはいけないのかなって。
すみません、上手く言葉に出来なくて……。
朝から私も、すごくもやもやしてて……。」
ジェイドさんは、ふと手を止めて、ゆっくり私の目を見てきた。
宝石みたいな赤い瞳は、私を真っ直ぐに見ていた。
「でもさっき、陛下に触られて、私、こわいって思ったんです…っ。
でも、ジェイドさんなら……触られたいです……。」
言ってから、私は自分があまりにも恥ずかしいことを言っていると思って、その赤色に居たたまれなくなり、手で顔を覆った。
「あっ、ごめんなさい、はしたなくて……。」
きっと軽蔑しているに違いない……。
私はどうせ気紛れに飼われているペットに過ぎない。
こんなことを言っても困らせるだけなのに。
自己嫌悪で死にたくなった。
「私も、先程気付いたのです。
暖かくなったり、急に黒いもやに包まれたような気持ちになったり。」
「……え?」
「私もこのような気持ちは初めてでした。
きっと…。」
最後に、私はジェイドさんがなんて言ったか、聞き取ることが出来なかった。
恥ずかしさと行為の荒々しさが急に襲ってきて。
いつもより優しい手つきに、幸せとどきどきをずっと感じながら、少し重たくなったジェイドさんのコロンの香りに包まれて泥のように眠った。
/ 344ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp