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互換性パラノイア【TOA】【裏】

第49章 彼女の追憶


雨と雷が激しく鳴りやまない。
雷が苦手だと言っていたルルさんが少し心配だ。
怖がって陛下の所に行って何かされていなければいいが。
なんていうことを心配してしまい、自分を嘲笑する。
可愛らしい恋人を残して面倒な仕事をしなくてはならないとは不条理だと雨を睨みながら思った。
明後日に帰る予定だったが、かなり繰り上げて帰ることにした。
こんな土砂降りでは任務の遂行も厳しい。
士気がこれより下がっても危険だ。
悪魔で冷静に分析した結果であることを部下たちに強調して、タルタロスを城に進行させる。

城内の自室が真っ暗だった。
「ルルさん?」
異様な雰囲気になんとなく不安になる。
彼女は寝室で横になっていた。
いつも起きている時間なので少し不審に思う。
「体調でも悪いのですか?」
近くに寄って顔を見る。
何かに怯える表情をしていた。
「ジェイドさん……」
消え入りそうな声で呟いた。
「ただいま帰りました。」
彼女の力ない手を取り、自分の頬に当てる。
「ここにいますよ。
雷、怖かったですねぇ。」
「…はい…。」
まだまだ止まない雨と雷。
茫然とする彼女をなんとなくだけれど、抱く気になれなかった。
そっと側に寄せて抱き締める。
「お留守番、頑張りましたねぇ。」
よしよしと背中と頭を撫でる。
目の前から消えてしまいそうで、不安で仕方がない。
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