第6章 4日目
ジェイドさんにお仕事が入ったと言われ、少し寂しいながらも、私はほっと一息つくことができた。
メイドさんにお茶を用意してもらい、相変わらず内容が頭に入ってこない本を長し読みする。
気分転換に町に出たいと申し出てみたものの、部屋で大人しくするように、と断られてしまった。
改めて本棚を眺めていると、1冊だけ可愛らしい背表紙の本があった。
異国の悲劇が綴られたものだった。
結ばれない運命だった二人は駆け落ちを決意し、一人は毒を飲んだふりをしたが、本当に死んでしまったと思ったもう一人がナイフを身体に突き立て、後追い自殺をした。
それを見た恋人は更に後を追って亡くなった。
静かに本を閉じて、胸に込み上げたもやもやと少し重ねてみた。
じんわりと暖かい滴が頬を伝っていった。