第42章 旅行1日目
ルルさんは、本当にたくさんの初めてを教えてくれた。
私も彼女にとってそういう存在でありたいと常々思っている。
(処女は美味しく頂いたわけですが。)
記憶が戻ってしまえば、一部の初めては私ではなくなってしまうだろう。
ぼんやりとした儚い存在であることに少しの不安を感じる。
それで関係が揺らぐ訳では決してない。
また全て上書きしてしまえばいい。
そんなことを思いながら過ごした。
薄々と感じてはいるが、健気な少女は色気が出た。
そのアンバランスさが私の今まで知らなかった、陛下の言う背徳感だろう。
ごく自然にする色っぽい仕草は、何故かどきっとする。
だからか、夕日に染まる観覧車に乗ったとき、つい触れる口実を作ってしまった。
(性欲のピークが三十代とはよく聞きますが…。)
関係ないと思っていた書籍の一文をふと思い出した。
最初は唇を食むだけの優しい口付けにしようとしたのに、震える睫毛、息を止める小さな音、重ねられる小さな手、何に対しても嗜虐心が反応する。
やがて貪るようなそれになると、必死に応える姿がなんとも言いがたい興奮へと変貌する。
いい年して何を考えているのか。
遠の昔に覚えるべき感情は、渦巻いては燃え上がった。