第40章 最近幼馴染みの彼女が可哀想
夜もすっかり更け、漸く仕事も段取りが付いたところで、例の回廊を通り、自室に帰ろうとする。
回廊にやはり声が響く。
「またドア開けてんのかよアイツ…。」
ご丁寧に寝室の戸も少し開き、悲鳴にも泣き声にも似た彼女の声はしっかり俺にも届いた。
部屋のテーブルに紙が置いてあり、気になってこっそり入ってそれを見る。
「陛下、この度は色々ご心配頂き、ありがとうございました。
お礼に、今夜のオカズに困りませんよう、濃厚な一夜をお送り致します。」
……何度でも言う。
俺の親友は、キモいしウザい。
「余計な世話なんだよ!」
俺がこの時間にここを通り、わざとドアを開け、わざと目立つところにこの紙を書いて置いて……。
「ひゃぁああっ!」
入って読んだ気配を察知して盛り上げる。
ほんとに、ほんとに、ムカツく。
なんか文句言ってやろうと寝室に向かう。
そこには。
手首が拘束され、涙を流しながら快楽に耐える少女と、飢えたケダモノがそれを貪っている様子が少し伺えた。
あまりにも強烈なそれは、衝撃的というか……。
「やりすぎ……。」
文句言う気もなくした…。
形の整った唇を舌舐めずりするアイツは、
「ね?良いオカズになるでしょう?」
と笑顔で呟いた。
「ジェイドさ、ん……手を、ほどいてください……っ!」
掠れている震えた声で少女がそう言う。
優しく拘束をほどいてやると、白い肌に赤い痕が付いていた。
痛々しいその姿で、ケダモノに絡み付く彼女の姿がいじらしく、どうしても感じてしまう背徳感は、人の本能なのか目を奪われる。
「ずっと、こうしたかったんです…。」
掠れた声と荒い呼吸で小さな少女はそう言う。
これは、…クるな…。
アイツも、なんつーダラしない顔で抱いてんのか。
これ以上は二人にしておこうと、そっとその場を離れた。
なんか、俺までどきっとして、情けねえ……。
悲しいことに、結局全部アイツの思惑通りに行動してしまった。
近々、部屋を移って貰おう…。
そんな決心をしたが、大臣たちに物凄い反対されてその話はなかったことにされた。
あ、これは、皆も部屋が近くなら耐えかねないということだな…。