第37章 61日目の終末
名前も知らない女がまた一人果てる。
(こちらも有力情報なし、ですねぇ。)
慣れない嫌悪感に少し苛立ちながら、急いで手を洗い、身支度を整え、大広間へ戻る。
(今日はあと一人が限界ですね。これ以上の人数は逆に怪しまれてしまいます。)
頭で女性同士の関係、家柄を整理しながらどの人なら安全圏か計算しながら話し掛ける。
なるべく後腐れがないよう、かつ後々の小競り合いに巻き込まれぬよう慎重に動く。
話し掛けても平気かどうかは会話の内容で大体わかった。
小さな田舎の貴族は、間柄が狭く、名前が一瞬で知りわたってしまうのでなるべくわざわざここまで来た地方の人を選んでいく。
スパークリングワインをくっと飲み干し、辺りを見回す。
「引き上げたほうが良さそうですね…。」
大体が密な関係の者が多くなってしまった。
これ以上ここにいても痛い目に遭うだけ。
そう思い、出口に向かおうとすると、目の前に見覚えのある上品な女性がいた。
「カーティス様…」
「これはこれは…探しておりました。」
「ずっと私達の探りを入れていたそうで。
ありがとうございます。」
「こちらこそ、手間が省けました。」
彼女をエスコートするように腰に手を回し、この為に借りておいた一室に案内をする。