第36章 61日目
昨夜はジェイドさんと執務室で会った後、結局お会いできなかった。
忙しいのかもしれないけれど、それを上回る不安と嫌悪感で私は一睡も出来なかった。
涙が止まらなくて目が真っ赤で、たくさんの人にとても心配をかけてしまった。
恐らく一部始終を知っているピオニー様が、こっそり今日お休みにしてくれた。
そしてジェイドさんのお部屋に来て、全部をお話してくれた。
私とジェイドさんのそういうのを写真にされてしまったこと。
それを返すに当たってジェイドさんがお見合いを申し込まれたこと。
お見合い相手が身元不明のお嬢様かもしれないこと。
それを調査するのに今お忙しいこと。
「解決策が出るまで内緒にってことにしてたんだ。
逆にこんなことになって、悪かった…。」
深々と頭を下げられ、こちらこそ申し訳なくて私は首を横に振った。
「ピオニー様が謝ることでは決してございません!」
「まず、お前の意向をきちんと聞くべきだった。」
真っ直ぐな瞳でそう言われてしまい、私はたじろいだ。